大型2輪ライダーのための「正当派テスト誌」&「実践ノウハウ誌」

コレいいよ! 第1回

コレいいよ! 第1回

(左)HenlyBegins LONG JACKET /(右)RIDING PANTS

第1回

DAYTONA
tel:0120-60-4955
http://www.henlybegins.com/
HenlyBegins


(左)LONG JACKET(3万9900円)/(右)RIDING PANTS(2万3100円)
※'07年1月テスト当時


見えない部分にこそ真価がある

「休日を楽しむおとなのバイク着」をコンセプトに掲げる新作ブランドが『ヘンリービギンズ』。そのロングジャケットとライディングパンツを1か月ほど試着したら、すっかり気に入りました。そんなわけで、誌面では伝えきれなかった細部の印象までしっかりレポートしたいと思います。

ちなみに僕は身長170cm・体重65kg。ジャケットもパンツもMサイズを選び、これがピッタリでした。こうしたウエアのテストには、走行風を全身で浴びるビッグネイキッドが最適ですから、CB1300SFとゼファー1100をメインのテスト車とし、そのほか数台のスーパースポーツでも印象を確認したうえで、レポートを書いています。ではまず、ジャケットから始めましょう。

軽い、柔らかい、動きやすい!

第一印象は「なんて着心地がいいんだろう」というものでした。

もしみなさんがバイク用品店でこのジャケットを手にしたら、「おっ、けっこう重いな」と感じるかもしれません。肩・ヒジ・脊椎にソフトプロテクターが入り、シッカリした作りのインナージャケットが装備されている(いずれも着脱式)のだから、当然ですよね。

ところが、ひとたび袖を通すと、まったく重さを感じません。それどころか、フルプロテクションの秋冬用ジャケットとしては、常識外れなほど軽い着心地を誇ります。全体的にしなやかで動きやすいのも印象的ですね。特に、腕まわりの動かしやすさは感動もの。プロテクターも違和感がなく、最初から何シーズンも着慣らしたジャケットのように体に馴染みます。首まわりや袖口といった直接肌に触れる部分がニット仕上げになっていて、あたりが柔らかいのも好印象でした。

風と戦わず、安全なシルエット

シルエットは全体的にタイトです。これは【1】スマートなカッコよさ、【2】高速道路で強い走行風を受けたときにバタつかないようにすること、【3】プロテクターがズレないようにすること、の3効果を狙ったものだと思います。もしバタつくと一気に疲れが増えますし、縫い目に負担がかかって耐久性を低下させてしまいます。それに、プロテクターの位置がコロコロ変わるようだと、万が一の転倒時にプロテクターがスルッと逃げて(回って)、体を守ってくれませんからね。

もちろんヘンリービギンズのジャケットはバタつきがなく、プロテクターはつねにジャストフィット状態を保っています。それなのに「軽い、やわらかい、動きやすい!=窮屈感がまったくない」んですから、僕が感動したのもわかっていただけますよね。それだけカッティング(シルエット)が優れているわけです。もし厚手のフリースやセーターを着込んだときは、腕の内側のジッパー(アームアジャスター)を開ければいいし、裾のタイト感が気になるならサイドベンツを開ければOK! 基本シルエットは絶妙なタイト感を保っておいて、アジャスターでユーザーの好みに合わせて緩やかにしていける開発姿勢がいいですね。

バイクを降りて街を歩くときでも、着心地のよさは変わりません。バイクウエアっぽすぎない、シンプルなデザインも街に似合います。

ロングリブの意外な効果

インナージャケットの袖は、走行風の浸入を防ぐために「ロングリブ」と呼ばれる仕上げになっています。これが意外な効果を発揮しました。ハンドルまわりに出る振動を吸収し、快適性を高めてくれたんです。振動の多いマシンに乗っているオーナーさんは、ぜひ試してみてください。もちろん指先の操作性はまったく変わりません。サイズ的に余裕のあるグローブでなければ、手の甲が少し窮屈に感じますけど……。

もしロングリブを邪魔に感じるなら、写真のように折り返しておけば大丈夫。街乗りではこのスタイル、遠出のときはロングリブを伸ばすなんていう使い分けもいいと思います。

まじめな作りこみが買い!

こんなふうに、一見しただけでは分かりにくいところにノウハウとコストを投入した「まじめな作りこみ」が、このジャケットの最大のウリだと思います。防水・透湿なのに、洗濯できるのもありがたいところ。厳冬期の防寒性も十分だと感じました。さらにデイトナ製の「ホットバイポリシリーズ」(ストレッチ系高機能インナーウエア)を組み合わせれば、着ぶくれしなくてカッコいいし、暖かさもさらに増すでしょう。

あえて不満点をあげるなら、フロントの3本のファスナーを閉める手間ぐらいでしょうか。数日で慣れるんで、不満というほどでもありませんが(笑)。これで3万9900円なら安いと思います。バイクだけでなく、アウトドアライフにも使えるし、その気になればビジネスシーンにも着用可能。バイクの種類を選ばないシルエットとデザインもいいですね。

ジャケット写真
一見、タイトに感じるかもしれませんが、窮屈感はまったくありません。着心地は「軽い、柔らかい、動きやすい!」、つまり「快適」の一言です。お腹が出ている編集スタッフが「太っているように見えないシルエットが気に入った」と、このジャケットを購入したことも付け加えておきましょう(笑)。
ジャケット写真
肩のアクションプリーツが実に効果的で、腕まわりの動きやすさは最高クラス。おかげで肩もこりにくいです。
ジャケット写真
アウターの内襟はコーデュロイ、インナーの襟はニットですから、いずれも肌へのあたりが柔らかくて快適。どんなライディングポジションでも、ヘルメットと襟の干渉は皆無でした。1か月使用しても、汚れが目立たないのもうれしいです。襟が汚いと不潔な感じがして気になりますからね。
ジャケット写真
ロングリブを伸ばした状態。このままグローブをはめれば、振動低減効果も期待できます。甲まわりに少し余裕のあるグローブなら、グローブの形を問わずに快適な組み合わせとなるでしょう。
ジャケット写真
ロングリブを使わないときは、このように折り返し、その上からアウターを被せておくと便利です。

パンツも、かゆいところに手が届く

続いて、ライディングパンツの印象をレポートします。

こちらもタイトなシルエットなのに、「軽い、やわらかい、動きやすい!」という基本はジャケットと同じです。ただ、着始めて2日間くらいは、腰のプロテクターが突っ張り、開脚性も今ひとつに感じました。馴染めば問題なくなるので、バイク用品店で試着する方は注意してくださいね。いや、安心してくださいね。

お腹の圧迫感が皆無

ウエストまわりの構造に注目すると、フロントはファスナー+面ファスナー+ボタン、サイドはアジャストベルト、バックはシャーリングと適材適所。おかげで、スーパースポーツのような強い前傾姿勢でも、お腹の圧迫感がまったくありません。出先でおいしいものを食べ過ぎてお腹が膨らんだときも快適です。これって、すごく大事なことですよね(笑)。

ジャケットの裾に装備されている着脱式ウエストゲーター(風の巻き込みを防ぐフラップ)との相性もバッチリでした。それでいて、腰まわりの運動性が低下することもありません。バイクを降りて街を歩いたときのシルエットも自然ですし、なにより歩きやすいのがうれしかったです。

気になったのは、トイレで用を足すときに手間のかかることですが、ジャケットのフロントファスナーがダブルジッパー仕様になっている(ジャケットの裾側だけスッと開けられる)ので、イライラするほどではありません。防水性と防寒性を優先した結果の構造と考えれば、十分に納得できます。トイレをギリギリまで我慢するのは、体にも精神衛生上もよくありませんから、余裕をもってトイレに行けば大丈夫ですよ(笑)。

ヒザまわりの構造に感心!

ヒザには大型のソフトプロテクターが入っていて、これが実にいい仕事をしています。つねにジャストフィットしていてズレないから、万が一の転倒時に体を守ってくれるという本来の仕事を堅実にこなしているのはもちろん、寒風からヒザ下を守る、パンツのズリ上がりを防ぐという役割まで担っているんです。

テスト期間中に、何シーズンも愛用しているお気に入りのオーバーパンツと履き比べてみましたが、ヘンリービギンズほどのフィット感と快適性がなくてガッカリしました。それほど、このパンツのシルエットと構造は優れているわけです。パンツ全体にわたってバタつきは皆無ですし、タイトフィットな割りに着たり脱いだりもしやすい。ヒザ裏もうっ血しにくく、防寒性も満足できるレベルでした。ロングソックスなどを組み合わせて裾からの隙間風対策を施せば、厳冬期でも大丈夫だと思います。

また、耐熱性と耐摩耗性を高めるためにヒザ下の内側に貼られたレザーも効果的でした。ニーグリップ性が向上するんですよ。もしこのレザーがなければ、ツルツル滑って、ニーグリップ性が低下していたことでしょう。また、お尻の部分だけ目の荒い生地が使われているため、お尻のグリップ性が高いことも特筆できます。これらの相乗効果で腰が安定し、ツーリング時の疲れがかなり減りますね。いやぁ、本当によく考えて作られてます。

右モモのポケットも使いやすい

右モモ部分にポケットがあって、ETCカードや高速道路のチケットを収納できます。これは便利! コインを収納すると、取り出すのに若干手間のかかることもありますが、カード類なら問題ありません。料金所の通過がスマートになります。ファスナーは後方に引くと閉まる構造ですから、走行風でファスナーが開く心配もありません。

ライディングパンツとして使うなら・・・・・・

オーバーパンツとしてだけでなく、ライディングパンツとして使えるのも、この製品のいいところです。基本性能はいずれの場合も共通なんですが、ライディングパンとして履くときは前述の「ホットバイポリシリーズ」などのインナーウエアを組み合わせたほうがいいでしょう。素肌で着用すると、汗をかいたときに裏地がペタッと張り付くからです。汗をかいたらインナーを取り外して洗濯すれば、いつも清潔。こんな機能もうれしいですね。

ユーザーによっては、ヒザプロテクターの当たりがきつめに感じられるかもしれませんが、こんなときも「ホットバイポリシリーズ」のようなインナーウエアが有効です。いずれにしろ、多彩な使い方ができるのはうれしい。ジャケットより、パンツのほうがバーゲンプライスかもしれません。

パンツ写真
ジャケットとパンツの組み合わせはバッチリ。パンツもジャケットもバタつきは皆無です。ちなみに僕はこの上下カラーコーディネイトが気に入ってます。
パンツ写真
ウエストまわりは適材適所。おかげでお腹の圧迫感がまるでありません。出先で食べ過ぎても大丈夫ですよ! 着座部分が滑りにくい素材で補強されているのもポイントです。
パンツ写真
プロテクターは防寒とズリ上がり防止にも一役買います。内側の当て革はニーグリップ性の向上にも効果的でした。
パンツ写真
右モモ部分のポケットは高速道路のチケットやETCカードの収納に便利。走行風でファスナーが開く心配がないのも◎です。

終わりに

ジャケットもパンツも、あちらを立てればこちらが立たず。防水・透湿性、着心地、防寒性、プロテクション性などの多彩な要素をよく研究し、ツーリングウエアとして最高と思われるバランスポイントを真摯に追求したことが、『ヘンリービギンズ』の製品からは感じられまそた。その象徴はカッティング(シルエット)のよさでしょうか。これなら僕も購入したいですね。


コレいいよ



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